野菜の紹介で「無農薬野菜・有機・オーガニック」といった、表示や特集を目にすることがあります。体や環境に良さそうな感じはするけれど…実際にどういったものか詳しくはわからない、という人も少なくありません。そこで今回は、それぞれの特徴について解説します。

この記事を読むための時間：3分

無農薬・有機・オーガニックの違い

野菜は「無農薬・有機・オーガニック」と、さまざまな表現で販売されています。ここではこの3つについて、それぞれの特長をご紹介します。

無農薬野菜とは

「栽培期間中に」農薬を使わない・農薬の使用を控えたものが「無農薬野菜」といわれます。その規定通り、植物も土壌も完全無農薬ではありません。たとえば、昨年は農薬を使っていた畑で今年に栽培を行っても「無農薬」といえます。そのため農林水産省は「特別栽培農産物」と、名称を新たにしていますが、一般的には「無農薬野菜」の呼び方が定着しています。

有機野菜とは

「有機JAS規格」に適合している野菜が、有機野菜です。農林水産省が定めた特定の農薬・化学肥料などを使用せず、動物性由来・植物性由来の有機肥料を主とした栽培が条件。自然の力を生かした手法で栽培された、環境にやさしい野菜です。

オーガニック野菜とは

無機質肥料や添加物をできるだけ使わず、有機肥料を使って栽培された野菜が「オーガニック野菜」といわれます。以前は、家畜の排泄物や生ごみ堆肥を使用しているものをオーガニックと呼んでいました。しかし現在では、有機野菜に使われる有機肥料が使用されるため、有機野菜とオーガニック野菜はほぼ同じ条件で育てたものといわれています。

「オーガニック・有機栽培」には厳しい審査基準がある

オーガニックや有機栽培の基準は、国によって異なります。日本では農林水産省が以下の基準を設けおり、これらを満たさない限りは「オーガニック」「有機栽培」の表示ができません。

 

• 化学的に合成された肥料および農薬を使わない。
• 遺伝子組換え技術を利用しない。
• 播種(はしゅ)または植付け前の2年以上の間、有機肥料での土づくりを行った田畑で生産されたもの。

 

ただし、オーガニックでも天然原料による農薬は、使用OKとされているため「完全に農薬を使っていないか」と言われれば「NO」となるものもあります。あくまで化学合成されたものはNGという考え方なので、完全無農薬を求める場合は気を付けなければいけません。

推奨されない「無農薬栽培」表示

無農薬栽培についての説明項でもご紹介しましたが、「無農薬野菜」には、農薬が使われているものも含まれています。そのため、消費者に誤解を与えるとして原則的に表示が禁止されており「特別栽培農産物」の表示が推奨されています。確実に農薬のない野菜のみを購入したい場合は、この表示の意味を間違えないように気を付けましょう。

無農薬・有機・オーガニックのメリット

無農薬・有機・オーガニックの野菜には、それぞれ摂取する上でのメリットがあります。ここでは、主なメリットについてご紹介します。

安全性が高い

まずは安全性です。栽培期間中は農薬未使用、もしくは少量で栽培されているため、薬剤を不安に思う人には嬉しい栽培方法と言えます。完全な無農薬ではありませんが、化学配合された農薬・肥料は使われていないため、安全面が優れていることに変わりはありません。

栄養素に優れている

農薬使用の野菜よりも、有機野菜のほうが優れた栄養素を持つという研究結果があります。自然に育てられた野菜は、自身を守るために外からの攻撃に負けないよう、抗酸化作用が強くなります。併せてビタミンも蓄積されるため、栄養豊富に育ってくれるのです。

新鮮で味が良い

野菜は肥料与えすぎると、成長過程で使い切れなかった養分を野菜の内部に「硝酸態窒素」として残留させます。これが多く残ると野菜の味にも影響を与えるのです。そのため「硝酸態窒素」が無い有機野菜程、味が良くなると言われています。有機野菜は、農薬を使わないため形や色がいびつになりがちですが、野菜が本来持っている味わいを楽しめるのです。

環境に優しい

有機野菜は、農薬や化学肥料を使用ないことで自然環境を汚さずに育てられます。土壌や水の汚染は、地球全体への悪影響に繋がるため、防げるに越したことはありません。有機野菜を選ぶこと、また有機野菜が増えていくことは地球環境への配慮にも繋がるのです。

無農薬・有機・オーガニックそれぞれの違いを知って野菜を選ぼう

無農薬・有機・オーガニックは、農薬の未使用はもちろん、使われていたとしても通常の農薬野菜よりは影響が少ないものです。しかし全てが、完全無農薬という意味ではないので要注意。農薬を一切使用しない野菜を探すなら、「農薬を完全に使っていない」とする農家や、野菜販売サイトからの購入も検討しましょう。